Exploring Toyama

  • 街が秋の色彩を纏う10月半ば、夜明け前の高速道路を日本海へ向かいました。行き先は北陸富山。久しぶりに集まった友人達と、三日間の自転車旅行へ出かけました。

    Day 1

    午前の内に富山湾へ到着した私達は、バイクに乗り換え庄川を上りはじめました。空のまま走りはじめたボトルには途中の水場で湧き水を満たします。川を離れ山の裾野を進むと、やがて登りがはじまり山へと入ります。
    国道を進むと全長3キロに及ぶ五箇山トンネルが姿を現わしました。トンネル脇から伸びる旧道へ入り、かつて幾人もの歩荷が雪崩に飲み込まれたという人喰谷を抜けて細尾峠を越え、バスや車が行き来していた往時を想像するには狭く険しい道を進みます。
    近づく日暮れに寒さを覚える中、合掌造りの集落にたどり着きました。この世界遺産の集落がこの日の宿です。分厚い雪に覆われた冬の景色が印象強い合掌集落ですが、秋のこの季節なら寒すぎることもなく、私達は囲炉裏で暖をとりながら山のごちそうに舌鼓を打ち、都会の喧騒とはかけ離れた静かな夜を過ごしました。

  • Day 2

    前日に続き気持ちの良い秋晴れに恵まれました。風も穏やかで気温が高く、ロングスリーブジャージ一枚で心地よく走れます。
    都会で暮らしていると、休日は自転車に乗って山や海へ向かいたいといつも考えます。東京からでも最初の数十キロの車との並走を我慢すればいくらでも峠に辿り着くことができます。木々に囲まれた山の中を走ったり、海を見ながらのサイクリングを楽しんだりすることもできます。
    ですが富山でのライドは、東京のそれとは全く違うものが経験できます。人里から離れ、山に入れば本当に人の気配はありません。聞こえてくる風の音や鳥が飛び立つ音、木の枝や葉が擦れる音が、そこで暮らす生命の気配を感じさせます。街での生活では忘れてしまいそうになる、自然への畏れと敬い。富山でのライドはそれを思い出させてくれるのです。

    この日は神通川を下り富山湾へ出た後、海沿いを移動し魚津市の温泉に宿泊しました。

  • Day 3

    朝から湿り気を帯びた雲が空を覆っています。幸い雨は降らない予報で気温も暖かく、私達は優しい潮風の中でライドを楽しむことができました。
    灰色の海を眺めながら、のんびりと西へ進みます。進む先に待っているのは旅の終わり。そして、明日から始まるそれぞれの日常へと戻っていくのです。

写真:通 劉